制作プロセスの全体像
導入事例の制作は、企画から公開まで通常1〜2ヶ月程度かかります。取材対象企業とのスケジュール調整や原稿確認に時間がかかるため、最初から余裕を持って進めます。
企画・対象企業の選定
どの顧客を取り上げるかを決めます。業種・規模・活用シーンが自社のターゲット層に近い企業を選ぶと、読者の共感を得やすくなります。また、担当者が取材に前向きで、具体的な数値や感想を話せる方がいるかどうかも重要な選定基準です。
取材依頼・掲載許諾の取得
取材対象企業に依頼し、掲載の同意を得ます。「何を聞かれるかわからない」という不安が断られる主な原因なので、事前に質問案と公開後のイメージを共有します。広報・法務部門の確認が必要な場合も多く、早めの依頼が欠かせません。
質問案の作成
取材で何を引き出すかを事前に設計します。「導入前の課題」「選定理由」「導入後の変化・効果」という基本構成に加え、製品・サービスの特長を自然に盛り込める質問を準備します。回答の方向性を誘導しすぎず、取材対象者の言葉を引き出せる設問にします。
取材・インタビュー
対面またはオンラインで取材を実施します。取材対象者が話しやすい空気を作り、録音・録画の許可を得た上で進めると、後の原稿作成もしやすくなります。予定していなかった良い発言が出ることも多いため、質問に縛られすぎず会話の流れも見ます。
原稿作成
取材内容をもとに原稿を執筆します。読者がターゲットなので、業界の専門用語は必要最低限に抑え、課題→選定→効果という流れで読みやすく構成します。見出しとキャプションだけ読んでも概要が伝わるよう設計すると、営業資料としての使い勝手も高まります。
取材先による確認・修正
完成した原稿を取材対象企業に送り、内容の確認を依頼します。事実誤認の修正はもちろん、表現のニュアンスや数値の公開可否についても確認が必要です。修正が複数回発生する前提で、スケジュールには余裕を持たせます。
デザイン・レイアウト
原稿が確定したら、デザインに落とし込みます。Web掲載用・PDF配布用など、用途に合わせてフォーマットを決めます。写真や図表を入れると、読者が内容をつかみやすくなります。
公開・活用
Webサイトに掲載し、営業資料・展示会・メルマガなど複数の場面で使います。公開後は閲覧数や問い合わせへの影響を確認し、反応のよい事例の特徴を次の企画に活かします。
外注した場合、ステップ2〜7を制作会社に任せられます。自社の担当者は取材対象企業との社内調整と最終確認に集中でき、業務負荷を抑えやすくなります。詳しくは外注vs自社制作のページをご覧ください。
制作前に整理しておくこと
導入事例制作をスムーズに進めるには、取材前の準備が欠かせません。取材先が決まってから慌てて目的や公開形式を決めると、質問内容が浅くなったり、確認段階で大きな修正が発生したりします。
まず、今回の事例を誰に読んでほしいのかを明確にします。新規顧客に安心してもらうための事例なのか、特定業種への提案に使う事例なのか、既存顧客への追加提案に使う事例なのかで、取材で聞くべき内容が変わります。
- 読者に近い業種、企業規模、導入課題を持つ取材先を選ぶ
- 実名掲載、匿名掲載、写真掲載の可否を早めに確認する
- Web掲載、PDF、営業資料など必要な形式を決めておく
- 公開希望日から逆算し、確認期間を十分に確保する
導入事例制作でつまずきやすい点
よくある失敗は、製品説明が中心になりすぎて、顧客の体験が薄くなることです。導入事例で読まれるのは、機能の説明よりも「なぜ選ばれたのか」「使ってみて何が変わったのか」という具体的な話です。
もうひとつ多いのは、取材先への確認に思った以上の時間がかかるケースです。担当者本人の確認だけで済まず、広報、法務、上長の確認が入ることもあります。特に実名掲載や数値掲載がある場合は、余裕を持ったスケジュールを組んでおくほうが安全です。
取材ディレクターとして見ると
段取りで一番差が出るのは、質問案を送る前の社内整理です。営業担当者が「このお客様は良い話をしてくれるはず」と言っていても、いざ聞くと成果の数値が出せなかったり、公開できる範囲が狭かったりします。
取材依頼の前には、「公開できる話」と「社内だけで使う話」を分けておきます。ここを曖昧にすると、原稿確認の段階で一気に言葉が弱くなります。
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